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  • Moeka Iida

剃るべきか、剃らないべきか:東西間におけるアンダーヘアのジレンマ


これからデリケートで、とても私的なことについて話したいと思います。人によっては不適切、もしくは卑猥だと感じるかもしれません(実を言うとある意味、滑稽だと私は思います)。最近のボディポジティビティやセックス肯定派フェミニストの諸言説が急速に広まる中で、アンダーヘアはますます重要で関連がある話題だと感じます。体毛やアンダーヘアに対する批判などは、女性から世界中で問題視されています。私のアンダーヘアに関する経験は少しユニークで、かつ他の女性、特に国際的なバックグラウンドを持っている人には共感してもらえるかもしれない、と思いました。


現在、私は25歳です。ボディイメージや容姿に関して常に不安を感じていた10代は、とっくに過ぎました。自分の見た目には、概ね満足しています。自分の体型や食事、ファッション、メイクなどには満足していて、最近は他人が私をどのように見ているかを心配することはほとんどありません。しかし、アンダーヘアに関しては、未だにどうすればいいか分かりません。ワックス脱毛するか剃るべきか、トリミングか、自然なままにするべきか。色々な方法を試してみましたが、いずれも満足する結果ではありませんでした。


私のバックグラウンドについてですが、私は日本人でシスジェンダー(体の性と性自認が一致している人)の異性愛者で、人生の多くを海外で過ごしたので、よく帰国子女と言われます。なので特定の人種、民族、そして文化を特別扱いしないという事をハッキリと言っておきます。しかし、国際的な生い立ちとバイリンガルだという事が、様々な国の男性に惹かれ、デートするということに自然とつながったと思います。文化の違いに直面するという事は、私にとってはどちらかというと自然な事なのですが、男性が女性のアソコに対して各々の意見をしっかり持っているという事については、未だに慣れません。


初めてアソコを剃ったのは、プレッシャーからです。当時はアメリカ人の男性とお付き合いしていて、彼の前で初めて裸になった時に、私の茂みに対して即座にネガティブな意見を言いました。「なぜ日本人の女の子はアソコを剃らないの?」「それでヤれるわけがない」「口に毛が入ってきたら気持ち悪い」。彼が私のことを「不衛生」で「魅力がない」と感じたことに対してとても恥ずかしく不安に感じ、そして悲しくなりました。そのすぐ後に、彼が望んでいたツルツルの肌を実現するため、カミソリを手にしました。


それからは私の中で、アンダーヘアを剃るのが習慣になりました。しかし、日本人男性と付き合い始めると、次は私の毛のないアソコが批判されました。この反応の背景にあるのは、日本ではアンダーヘアを剃るのが一般的ではない事や、女性が陰毛を剃った状態を意味する「パイパン」という単語が、軽蔑的とまではいかなくても性的な意味を含んでいるから、という事もあると思います。最近日本では、陰毛を剃る女性の数が増えているようですが(欧米の影響と、脱毛サロンがマーケティングに力を入れているからだと思います)、オンラインでは男性たちによる、剃毛されたヴァギナはありかなしか、という白熱した議論が繰り広げられています。ハウコレのアンケートによると、陰毛を剃る女性に対して男性の意見でよくあるのは、「絶対にヤリマン」という事。なぜなら、アソコを剃る唯一の理由は、誰かと寝ることを想定しているから。これは私が以前、元カレから受けた反応に通じるものがあります。自分のプライベートゾーンにあからさまに手を加えることは、「純粋さ」と「無垢」を中心とした日本の女性らしさの理想と相反するからです。


アンダーヘアに対しての様々な意見や認識を知り混乱した私は、アンダーヘア除毛の歴史に興味を持ち始めました。まず、なぜ欧米で人々はアンダーヘアを剃り始めたのでしょうか。私のリサーチによると、それは全て、ポルノを含むメディアによる女性の描写に起因しています。歴史学者のケイト・リスター博士によると、ヴィクトリア時代には豊かに生えた陰毛は若さ、健康と精力を象徴することから、女性の陰毛は好まれていました。ツルツルのヴァギナは不健康で病的なので、男性には好まれなかったそうです。しかし、1980年代頃からポルノ産業が盛んになり、陰毛を取り除くことで視聴者がより良く部位を見れるということで、陰毛を含む画像が使われる事が少なくなっていきました。そして現在はポルノだけでなく、あらゆる形態のメディアで、陰毛は望ましくないとされています。(ウルフ・オブ・ウォールストリートのあるシーンでレオナルド・ディカプリオが、「最近の女性は眉から下の毛がない」、と興奮した様子で話していたのを覚えています。)普段よく目にするものが、私たちの「普通」を形成します。何かがその「普通」と異なると、私たちは自動的に嫌悪感を覚えるのです。


西洋社会にも自然に生えた陰毛が好まれていた時代があったという事から、陰毛に対する意見は決して不変、もしくはある地域限定ではないと言えます。一方で変化がなく普遍的に見えるのは、女性が家父長制の考えに基づいて自分たちの体を修正するように、プレッシャーをかけられているという事です。男性がツルツルの肌を好めば剃り、男性が毛のない状態が嫌なら私たちは剃るのを止めます。


最近欧米諸国では、アンダーヘアを剃らないという事が、一種のフェミニストの表現方法になりつつあるようです。まるでそれは、女性の体に対して自分の意見を押し付けてくる性差別的な男性へ、中指を立てる行為かのようです。例えば、あなたが日本の女の子で、ワックス脱毛、もしくは剃るのが好きだとします。その場合は、あなたはあなたのツルツルのヴァギナを誇りに思うべきだし、もし誰かがあなたを「ふしだら」と非難し始めたら、ほっといてくれ、と言うべきです。元カレ達との経験を振り返って思うのは、当時彼らの要求を退けるか、もしくは、彼らの理解を得るために私の入り混じった気持ちを伝えればよかった、という事です。


自分の経験を通じて感じたのは、ますますグローバル化する社会で文化の違いが性差別と結びつく事によって、女性が公正な対話に参加するのではなく、自身の行動を変えるように強制されているという事です。私が経験したように、女性は男性からの多種多様で、時には相反する要求に押しつぶされそうに感じるかもしれません。女性は様々な体型批判に声を上げ、変化を求め続けています。私の経験談もその議論の多様化に貢献できるかもしれません。あるいは、私はこれら全てを無理に合理化して、理論化しようとしているのかもしれません。私は自分の経験について冗談を言うことが出来ますが、この話の根底にある事はさらに突き詰める価値があると思います。当時私はとても傷つき、ショックを受けていたという事が、今はハッキリ分かります。私の話が、同じような経験をした女性たちにも響く事を願っています。


About Moeka Iida

Moeka Iida is a public affairs consultant and freelance researcher who graduated from Sophia University. Moeka is also an artist with a passion for surrealism. She is interested in the intersection of social justice, politics, art, creativity, and humor.


Instagram:@moekaimnida

Twitter: @moekaimnida


翻訳 Mutsumi Ogaki

編集 Emiru Okada

グラフィック Maya Kubota

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