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  • Niko

正直に言うと


警告:本記事は性被害によるトラウマの影響に関する、当事者の考察を含みます。


性被害のトラウマを自分自身で経験するまで、理解できなかったことがたくさんあった。日常の中で性暴力の存在と、加害者が保護される一方で被害者が沈黙させられることは認識していた。でも10代の少女として、なぜそんな悪行を犯す人々が世間から守られるのか、その理由や仕組みを理解できてはいなかった。世間知らずで無邪気な子供と呼ばれても仕方がないけれど、私は社会の善と人の善を信じていた。


そして、現実に直面した。


ちょうど17歳になった頃、信用していた人から性被害を受けてトラウマを経験した。それ以前に性暴力サバイバーの話を見たり聞いたりした時は、なぜ彼らが罪を感じて自分自身を責めてしまうのかが理解できなかった。でも自分で経験してみて、やっと分かった。守ってくれるはずの大人たちが敵になった。学生の友達は話を聞いてくれず、どうでもよさそうだった。みんな何もなかったかのようなフリをした。そのうち自分の声が自分のものなのか他の誰かのなのか分からなくなって、自分を責めては起きたことを話してはいけないと考えるようになった。


私は犯罪者が制度に守られる一方、私は自分で自分を守るしかない状況を目の当たりにした。彼らにとっては私より犯人の生活、家族、そして将来のほうが重要だった。私はただの数字、統計データに過ぎなかった。見捨てられ、沈黙させられ、最後には忘れ去られた。


周囲の人は、一番の復讐とは良い幸せな生活を送ることだ、と言った。怒りにコントロールされて後に後悔するような行動をとれば、犯人の勝ちだ、と。でも、どちらにせよ彼の勝ちじゃないのか?彼は一生残る傷など負っていない。あの事件を思い出すたびに息ができないような思いをすることもなく、無関心に生きられる。高校時代を振り返った時に、あの記憶が常に目の前をよぎることもない。


私は怒りでいっぱいだった。復讐心に燃えた。

なぜ私が、自分に起こったことを押し隠して生きていかなければいけないの?なぜ大丈夫なフリをして生活しなければいけないの?なぜあの人たちは、私じゃなくて彼を守ったの?意味が分からない。こんなのフェアじゃない。世界は不公平だ。


この事件を思い出す度に、毎回こんな気持ちになる。数年に渡った治療と回復にも関わらず、私はまだ怒りと復讐心に燃えている。でも同時に希望も感じている。私の話が、他のサバイバーの人たちの支えになったらいいなと思う。こうして声を上げることで、性被害のトラウマにまつわるスティグマがいつか無くなってほしい。特にこのような話題がまだタブーとして扱われている日本で、それが実現することを願う。


私は今、この経験を抱えながら人生の旅を一歩ずつ歩んでいる。

不運にももう昔の私、あの少女に戻ることは二度とできない。でもこの経験を通して、私には未来の世代により良い世界を作ることができるのだ、と信じてみることにした。他の数え切れないほどのサバイバーの方々と共に社会に変化をもたらすことで、他の人や若い世代は私が経験し感じたことに直面せずに済むのだと。こう信じることに決めた。そうするしかないと思うから。

About Niko (She/Her)

主に日本で育った、アメリカ在住の大学生。フェミニズム、メンタルヘルスや日米の社会・政治問題に関心が高く、実体験をもとに声を上げることで周囲をインスパイアしたいと活動する。




翻訳 板垣今日子

編集 岡田笑瑠

グラフィック 窪田麻耶

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