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  • Kiana

Z世代のQuiet Quitting

友人たちと飲んでいた時のこと。


仲良しグループ全員が社会人になり、足並みが揃った。留学で最後に社会人になった一人が、TikTokで流行っているZ世代を表すある表現、「Quiet Quitting」について教えてくれた。


「Quiet Quitting」とは、退職することではなく、求められている以上の仕事をするのを辞めること。働かないわけでも怠けるわけでもなく、給料に見合った分、求められた分ちょうどの仕事をこなすこと。


これ、私の彼は米軍で随分前からやっている。


もちろん、朝が普通の民間企業よりずっと早いのだが、それにしても「そんなに早く帰ってきて大丈夫?」と言いたくなるような時間に帰ってくることがある。


彼曰く、「自分がやるべきことは全部終わらせてきた。今日の分は他にないから、残っている方が良くないでしょ。だから帰ってきた。忙しそうな上司の仕事は上司の仕事、僕のは僕のだから。もちろん必要があれば手伝うけど、階級が違うからそもそもできることが違う」とのこと。


たしかに彼は、私が忙しく働いていたのを不思議そうに見ていた。「どうしてそんなに君ばっかり頑張っているの?それ本当に君の仕事なの?」そんなことを何回か言われていた。


私はいっぱいいっぱいで、「アメリカ人とは仕事に対する価値観が違うんだ!」と彼の言葉に聞く耳も持たなかったが、「給料に見合ってない。もう少し給料が高いなら。職階にやることの大差がなく、同じ仕事なら昇給してほしい。先輩たちが楽をしている中、若手ばっかり辛い思いをして、やっていられない」と口癖のように繰り返し言っていた。



友人たちは言う。


「学生時代と比べると、お金があるとやれることこんなに違うのかって思うよね」


「社会人やってみて思ったけど、いかに(力を)抜きつつきっちりお金もらうかよね、会社って」


「うちの会社は全社的に昇給するけどさ、それでも疲れて休日寝てるだけなのは変わらないもん。私は時間が惜しい」


「お金があってもさ、入った分だけ使っちゃって残らないからどっちもどっちだよね」


「買う服の単価が上がったのが働くモチベ。ネイルもできて綺麗になれて嬉しい」


「お金があるって大事だけどさ、仕事頑張りすぎて家庭が荒んじゃったおじさんたち見てると、何が正解かわからない」


たった五人で話しても、こんなに意見が違う。


私は正直、社会人になってから「社会人になってよかった」と思うことがなかった。それでもやってこられたのは、お金がもらえるから。でも、ある一定のタスク量を超えたり、周りと比べてフェアじゃないと思うほど仕事をしていると、お金が支えてくれる自分の我慢の限界を突破してしまう。


この「Quiet Quitting」は、そんな私のような間も無く限界突破してしまいそうな、少し社会に慣れてきた、若手ビジネスパーソンたちに深く刺さっているのではないだろうか。


大人たちは「ゆとり世代」だの「さとり世代」だの、何かと世代に名前をつけたがる。私たちは、一生懸命頑張らない「Quiet Quitting世代」と名付けられるのだろうか。名前はどうぞつけてください。ただ、一人一人価値観は違うということを、なんとなく頭の隅に置いておいていただければ、私は結構です。


「Quiet Quitting」自体は悪くないし、むしろ素晴らしい能力だと個人的には思う。辞めるわけでも、求められたものを80%の成果でこなすわけでもない。きちんと求められた通り100%の成果を、限られた時間内で出し続けられるって、実はとってもすごいことではないだろうか。


健全なスケジュールで働いて、プライベートを充実させられるだけの時間もあって、心と体の健康を保てるのだから、本来社会にとって利益を増大させられるはずではないだろうか。


たしかに少子化が進む社会で、高度経済成長期や2000年代初頭のようにみんなが長時間働かないと、同じだけの税金を国家は集めることができないのかもしれない。でも、それで一人一人の心と体の健康が損なわれるなら、本末転倒だと私は思う。長時間労働のせいで健康寿命が損なわれたら、働ける人がどんどん減っていくから。


上の世代の方々からは「自分勝手だ」と言われそうだけれど、年金が受け取れるかも分からない私たちが、今を大事にして少しくらい楽しんだって何も悪いことはないじゃない?そんな価値観はダメだろうか?


一括りにZ世代は「Quiet Quitting」するとは言えないけれど、人生100年時代、働くことを社会から求められる期間は、上の世代に比べてどんどん長くなっていくようだから、こんなふうに生きてみるのも、一つの選択肢としていいんじゃないだろうか。



参考文献

吉谷麟 2022.求められる以上の仕事はしない。Z世代に広がる働き方 "Quiet Quitting" とは? BuzzFeed. https://www.buzzfeed.com/jp/rinyoshitani/quiet-quitting




編集 Emiru Okada

グラフィック Momoka Ando




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