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  • Kiana

弱虫な私のフレンドシップ・トランジション


私は現在、絶賛マリッジブルー兼トモダチブルーだ。


大学時代の友人の中では、一番乗りで結婚することになった私。

大祝福されるというより、周りの焦った反応や嫉妬を敏感に感じ取ってしまって、正直苦しい。たしかに私は、お嫁さんになることへの理想が高かったわけでも、家庭的なわけでも、学生時代からずっと彼と付き合っていたわけでもない。どちらかといえば、結婚は一番遅そうと言われていたくらいのキャラクターだ。だから分からなくもない。分からなくもないけど、あの子たちには全力で祝福されたかった。

トゲトゲした嫌味な言葉ではなくて、純粋な「おめでとう」が聞きたいだけだった。


私が結婚して遠くに引っ越すことが決まったから、国を跨ぐ転勤族のパートナーがいて普通に終身雇用にはならない人生が確定して、みんなは違う世界に行く私のことがもういらないのかな、と勝手に思っていた。


こんなことで3週間も悩んでいるので、母曰く、どうやら私はマリッジブルーらしい。「相手が本当にこの人でいいのかな?」とか、結婚相手と自分のことで悩むことだけをマリッジブルーというのかと思っていたけれど、こういうパターンもあるのか。自分で名付けるならば、トモダチブルーである。苦しいと思ったところで結婚するのをやめるつもりは全くないし、彼が大好きなことに変わりはない。


でもどうしても苦しくなってしまって、別の大学時代の友人に吐き出した。


「今はライフステージがズレてきちゃったかもしれないけどさ、彼女たちともまた5年後、もしかしたら30年後くらいにまた仲良くなれるかもよ!私も含めて、私たちの世代の多くがまだ経験していないことだから、キアナの気持ちが想像できないんだよね、きっと。

それでもきっと、前みたいな温度感で仲良くいられないのは苦しいと思うけど、それって必ずしも友達関係がなくなるんじゃなくて、仲良くなるタイミングが来たり来なかったりするだけなんじゃないかな?私たちだって大学時代から友達ではあったけど、まさか卒業してからの方がたくさん会って大切な話をするほど仲良くなるなんて、お互い思ってもみなかったわけだし?友情ってそういうもんなんじゃないかな。あなたが悪いわけじゃないよ」


ほっとした。

上京したばかりの頃から仲良しの友達を失うのではないかと不安だった。

みんなバックグラウンドも違うし、私だけ渡米するし、私だけ結婚するし、私だけ転職したし、みんなと違いすぎるからだと思っていた。自分には幸せな選択のはずなのに、人と違う世界を、周りと違うペースで歩むことが怖くなった。正直、欲しいと思っていた子どももいろんな理由をつけて欲しいと思わなくなっていた。行きたかった大学院だって、みんなとこれ以上違うことをするのが怖くて、勝手にやめようとしていた。


彼女たちと友達になれた「共通点」ではなくて、違うところをネガティブに捉えてそこばかり見ていたのは私の方だ。


なんて弱虫なんだろう。

母の言う通り、育った母国を飛び出して暮らしていくなら、人一倍タフにならなくちゃいけないのに。なんで私はこんなに周りの反応にいちいち影響されて泣いているんだろうか。友人の言う通り、今はただタイミングがズレているだけなのだ。私だけ前に進んだとかではなく、ちょっと方向の違う一歩を踏み出しただけの話で、本来はみんな違って面白いから会って話が盛り上がるのだ。


友人は続ける。

「それにさ、全員で会わなくたっていいじゃん?そりゃあこうやってキアナが最初に結婚したみたいに、これからみんなの生活もそれぞれ変わっていくんだから、心配しなくてもあなただけの話じゃなくなる。私だってキアナにだから相談できることがあるみたいに、彼女たちの中でもみんなで話すよりも、経験したキアナに話したいことも出てくるんじゃないかな。仲良しグループが何年も全く変わらないのって素敵だけど、ずっとそうじゃなくても、いつかまたみんなが会いたいときにみんなで会ったらいいんじゃないかな」


たしかにそうだ。

毎月会わなきゃいけないルールなんてないし、全員で集まらないといけないルールなんてない。私は私で、会いたいときに会えばいいのか。そのときみんながいれば参加するし、みんなで会えなくても誰か会えるだけでもいい。


こんな言葉をかけてくれた彼女とはたしかに、旅行から帰ってきてお土産を渡したいからとか、職場ですごく嫌なことがあってどうしても今週話したいからとか、誕生日が近いからとか、そんな感じでいつも次の予定を決めない。なんとなく連絡して、なんとなく会っている。私のパートナーの仕事の都合で延期してもらったこともあるし、彼女ともう一人友人を交えて会うこともあれば、二人で会うこともある。


こういう適当でもやっていける心地よさが、私にとっては実はとても大事なんだと気づいた。だって私は、みんなのためにアメリカからすぐには帰って来れないから。毎回「また予定合わせられなくてごめん」と謝るのは苦痛だから。


まだまだ未熟な私は、みんなと物理的・心理的な距離が生まれるのはやっぱり怖いけど、それでもこれは私の選んだ道だから。私の人生だから。


きっと、新しい土地で新しい友達を作って、それなりになんとかやっていくだろう。

適当に日本に帰ってきて、タイミングの合う誰かと会ってまた帰る。

そしてまた大好きなみんなと道が交わるその日を、私は心待ちにしている。




著者 Kiana

編集 岡田笑瑠

グラフィック Claudia MacPhail

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