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  • Karin Shimoo

ガールボス?興味ない。


現代社会を生きるガールボスの物語に、燃え尽き症候群の話。はぁ。女友達の間で美化され、大いにもてはやされたそのライフスタイルに、恥ずかしながら私もハマっていた頃があった。けれど、学生時代の友人と再会し、私達が直面していた問題を目の当たりにした後では、そんな物語は大して価値のないものだと気づいた。

女子校で学んだフェミニズムの教えに縛られて、私たちは自分自身に過度な期待をしていた。目標は、成績優秀でありながらウィットに富んでいて慌てたりせず、意欲的でありながらも繊細で理解があって、自立してるけれど忠実な友であり娘であり姉妹である。そんな女性。「よっしゃぁ、みなぎってきた!」なんて言いながら、私達はその日三杯目のエナジードリンクを開ける。私達の指は、シスジェンダー白人のおじいちゃん(徹夜はだいたいこの人のせい)が書いた経済学の教科書のページを慌ただしくめくりながら、合理性と生産性に関する原則を探していた。頭の中は、もう一つのエッセイとインターンシップ、彼の誕生日のサプライズ、ママへの電話、その他諸々に気を取られている。ドアの外に出たかと思えば、何も問題ないという顔をしながら、やることが雪だるま式に積み上がった家へ帰るのだ。

そして、少し大人になった今。こんな生活は「イケてない」という自意識が芽生えてきた。私達は一時の安らぎを求めるようになった。スーパーのワインを飲みながら、互いをなぐさめては感傷に浸ってみたり。ショッピングや美容院の予約、ボーイズトークなんかでセルフケアを妥協してみるのもいいかもしれない。でも、立ち止まって自分と向き合う時間なんてそうそうない、と私達はつぶやく。すると自己否定がやってきて、そんなもの必要ないじゃないかと囁くのだ。

結局、私達は現実から目を背けて、「自分のことは自分でできる」と歩き続けるのだ。自分で決めた期待に応え、時にはそれ以上の成果を上げていると思いながら。

だけど…それは全くもって愚かなことだった。

かつて、ペイントを塗りたくって真っ黒になった互いの顔を見て、友達と爆笑していた頃があった。懐かしくなるあの笑顔。けれど、そこには自分の価値を周囲からの称賛の数に見い出しているよそ者の少女がいた。私達のドーパミンを増やすのは、よくできましたシール、両親の賛称、それにインスタのいいね(とくに好きな人からの)。一度だって自分が十分だとは思っていなかった。後から考えてみれば、それは単に馬鹿馬鹿しい考えだけではなく、特権の上に座っていたことに全く気づいてなかったことでもあるのだ。

友人が苦しんでいる姿を見て、私は酔いが醒めた。どうにか彼らを助けようと必死になったが、私にはどうしようもできないことも知っていた。今手を差し伸べても、自分を認めてほしいという陶酔的な自己愛を満たすだけだと分かっていた。私はメンタルヘルスについて、実際は何も知らなかったのだ。それがどれほど恐ろしいことか、私は思い知った。来年には大学を卒業する。これから自分の居場所を見つけ、大人になろうとしているのに、「グレイ・スポット」に対処できずに人間関係や世界観を汚してしまうような人間にはなりたくないと思った。

だから、私は子供じみたことはやめて、自分が変わりたいと思っていたことを認めた。自分の心、メンタルヘルス、そしてそれらとどう付き合っていくのかを知りたいと思った。自分の感情について客観的に、偏見のないところから学びたかったのだ。様々な状況に自分がどう反応するのか。予想外の障害にどう建設的に対処するのか。周囲の承認ではなくて、何が私を本当に幸せにしてくれるのか。

私がメンタルヘルスに気をつけるようになってから二ヶ月ほど経つが、すでに小さな変化があった。メモアプリには、かつての私なら呆れていたような名言がたくさん並んでいる。「期待を感謝に置き換える」とか(わかるよ、イタいでしょ)。でも、これはその通りなのだ。私は、成功も失敗も関係なく、朝の一杯のコーヒーに安らぎの一時を見出すことを習慣にしている。自分の気持ちを、思いやりを持って、けれど論理的に理解する方法を学んだ。そして、まだまだ野心家ではあるけれど、大きな期待を捨てて、多くの選択肢を持つことができる自分の立場に感謝することを学んだ。これは一日一日の積み重ねで、時には前よりも後ろに進んだように感じることもある。それでも、一歩踏み出すことができた私の背中を優しくトントンしてあげたい。


ガールボスになろうとしていた時、私はメンタルウェルネスを自分には合わないライフスタイルだと否定していた。抹茶ラテを飲み、パピーヨガを愛し、夢日記をつけるようなタイプではない、と思っていた。確かに、ウェルネスがひどく美化されているのは事実だ。しかし、心の健康は私達のすべての生活に必要不可欠であるという事実は変わらない。残念ながら、健康診断を受けたり、ジムに通ったりして身体をケアするように、心もメンテナンスが必要で、忙しいスケジュールの間を縫ってでも時間をかけてケアしなければいけないのだ。ケアに使った時間は、必ずしも目に見える成果に繋がるとは限らない。けれど、孤独なガールボスになるくらいなら、どこへ行こうともバカみたいに満たされている方がずっといい。


最後に、メンタルヘルスに関するリソースは、誰にとっても常に利用しやすいわけではありません。私の些細な問題を話すためにメンタルヘルス界隈を過密にして、助けが必要なコミュニティから注意を奪うことは、私が一番やりたくないことです。ガールボスは、特に不利な立場に置かれている人たちが、より良い生活を求めて闘うためになることが多い。明日の食べ物を、とりわけ誰かの分まで、心配しなければいけない人たちにとっては、無理をせずに自分のことに集中する余裕はないかもしれない。私はまだ親に頼っている部分が多い学生なので、「ガールボスであることを控えろ」と説教する立場にはありません。

そこで、それぞれの経験をお聞きし、アクセス可能なメンタルヘルスケアについての議論を進めるために、皆さんをオープンな対話にお誘いします。その間に、日本や海外のメンタルヘルスケアに関する無料の情報をリストアップしましたので、ぜひご覧ください。そして、残った私達は、情報の不足を目ざとく見つけ、今後のアドボカシーへのインスピレーションにしましょう。


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  • Moodfit (無料アプリ): https://www.getmoodfit.com/ 自分の感情や気分を記録することができ、自分の気持ちをより理解するのに役立ちます。専門的なカウンセリングの提供はありません。

  • Wellness with Ella (ポッドキャスト/Spotify、Apple、You Tubeで視聴可能): https://deliciouslyella.com/podcast/ ゲストが自身のメンタルヘルスの道のりについて率直に語りあります。メンタルヘルスについて簡単に知るきっかけになるかもしれません。

  • Radio Headspace (ポッドキャスト/Spotify、Apple、Googleなどで視聴可能): https://link.chtbl.com/radioheadspace 頭の中を整理する方法について、研究に裏打ちされた戦術や個人的なエピソードを紹介しています。各エピソードが短いので、一日の中で数分だけでもセルフケアの時間を確保したい人におすすめです。

  • TED Health (ポッドキャスト/Spotify、Apple、Googleなどで視聴可能): https://www.ted.com/podcasts/ted-health 医学的な観点から、私たちの健康について議論しています。新しい科学的発見や、ブレークスルーを引用していることが多いです。

  • Never not creative (ポッドキャスト/Spotify、Apple、Googleなどで視聴可能): https://www.nevernotcreative.org/podcasts メンタルヘルスの専門家、コンサルタント、クリエイターへのインタビューなど。ガールボスを目指す方には、マイペースで成功するための個人的な体験を紹介する「More Than Checking Podcast」(2022年9月放送)がおすすめ。職場環境におけるメンタルヘルス+男性のメンタルヘルスについて語られている「Exploring Mental Health」(2022年6月放送)もぜひチェックしてみてください。

  • Get Real: Talking mental health & disability(ポッドキャスト/Spotify、Apple、Googleなどで視聴可能): https://www.buzzsprout.com/922639 実体験を持つ人、フロントラインワーカーや制作担当者へのインタビューを通じてメンタルヘルス×障がいについて議論しています。





著者 下尾佳林

翻訳 大江杏

編集 岡田笑瑠

グラフィック Claudia MacPhail

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