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  • Katrice Cuason

アジアにおけるカラリズム


おそらく私が自分の肌の色に自信を持てなくなったのは、テレビで流れるいくつもの美白化粧品のCMか、東南アジア系の家族から容姿について言われたことか、もしくはその両方のせいだろう。中国系フィリピン人のコミュニティで育った私は、白い肌を異常なまでに崇拝する集団の中で強い疎外感を感じていた。その疎外感から、私は自分の外見を変えようと努力するようになった。


世間の基準に合わせることに圧力を感じたことがあるのは、私だけではないはずだ。


褐色肌のアジア人に対する差別は、今もなお続いている。陶器のように白い肌こそが美しいという東アジアの価値観に当てはまらない多くの人が、悪いイメージを持たれている。


K-Pop業界を例にあげよう。公開された写真に映るアイドルの多くは、肌を白く加工されている。事務所によっては、韓国の美の基準に合わせるために、アイドルに美白化粧品を使わせることもある。それだけではなく、生まれつき肌が褐色なアイドルは、メンバーに馬鹿にされることさえある。インターネット上には、そういったメンバー間のカラリズム的ジョークや無神経な振る舞いを非難する動画がいくつも上げられている。彼らは「アイドル」であって、一挙一動に高い関心が寄せられている、人々の規範になるべき存在でなければいけないのに。悲しいことに、このようなアイドルの影響で、K-Pop業界の美白至上主義に捉われるようになったファンもいるようだ。


アジアのカラリズムは、アジアだけでなくヨーロッパやアメリカの芸能業界にも影響を与えている。欧米の視聴者をターゲットとしたメディアの多くが、アジア人のキャラクターを色白の東アジア人として描いており、他のアジア系民族を起用することはあまりない。他のアジアが描かれないことは大きな問題である。多くの人、とりわけ欧米人がアジア人に対して非常に了見が狭いのは、まずこれが原因だといって間違いないだろう。アジア人は皆肌が白くて目が細いのだというステレオタイプも、このようにして生まれたのだ。


アジアのカラリズムは、アジア人に非現実的な美の基準を強要している。歴史的背景はさることながら、メディアや芸能界がこの問題の激化を進めていることも大きな要因だろう。この問題は、数多く存在する差別問題のパラドクスの一つにすぎない。しかし、私達が意識を高め、社会の有害な思想と闘い、包括性と多様性を推し進めていくことが大切なのだ。私達が共に立ち上がった時ステレオタイプから解放され、アジア人というアイデンティティを心から祝福できる世界が訪れるだろう。



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Instagram: @katricecsn




著者 Katrice Cuason

翻訳 大江杏

編集 岡田笑瑠

グラフィック 窪田麻耶

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