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  • Kurumi Onishi

親愛なる友人へ


親愛なる友人へ


本当にごめん。私に言えるのはそれだけ。私達が最後に話した時も、この言葉で止めておくべきだったとたまに思う。


あなたが音もなくこの世界を去ってから2年以上経った。あの知らせを聞いた瞬間を今でも鮮明に覚えている。私はワシントンD.C.にいて、あの朝は表紙撮影のためにダンススタジオに向かって学校の図書館の近くを歩いている最中だった。共通の友達からのメッセージを読んで、今までの人生で感じたこともない衝撃を受けた。正直言うとどういう風に表現したらいいかも分からないけど、時が止まって、黒い雲が頭の中に立ち込めたような感覚だった。


まだあなたのお墓や家を訪ねる勇気がない。私たちが別々の道を選んだ時、あなたのお母さんと話をしたのを今でも覚えている。あなたは他の子どもよりもはるかに敏感で、多くの人にとっては取るに足らないことでもあなたの全てを壊す可能性がある、と言っていた。あなたが私との関係を断ち切ろうとしていた事実に怒っている時、あなたが泣いて目を腫らしていたことも教えてくれた。だけど私は、あなたがどれだけ私にとって大切な存在であるかを十分に伝えることが出来なかった、ということで頭がいっぱいだった。正直に自分の気持ちを伝えていると思っていたけど、実際には私の言葉であなたを傷つけただけで何の意味もなかった。あの言葉は必要なかったね。私の言葉が真実ではなかったからではなく、ただ何の価値もなかったから。私が意図せず言葉のナイフで傷つけたせいであなたを失うと知っていたなら、あんなことを言う必要は絶対になかった。


ガス室のように感じたあの部屋に住んでいた時、全てを自分中心に見ていた。確かに、私を嫌っていた人たちでいっぱいだったあの部屋にいた当時は、私にとってとても大変な時期だった。大切な人が躁状態で私にきつい言葉を浴びせてきていた中でも、私は自分自身と壊れたもの全てを必死に「修復」しようとしていた。私はポジティビティと人の存在に飢えていて、幸運にもそれらを手に入れることが出来た。あなたのニュースを聞いた後、口では自分のことを責めていたけど心の中では私は悲劇のヒロインの様に感じていた。あなたの方が傷ついていたのに。あなたこそ一人ぼっちだった。あなたの事を想うべきなのに、私は自分がみじめに感じて泣いていた。


今さら遅いと分かっているけど、やっと理解できたと思う。もちろん全てを理解できるとは思っていない。それでもこの頃あなたのことをよく考えていて、特に孤独を感じた時やこの世界から取り残されたように感じる時に、あなたもこんな風に感じていたのかなと思う。


あなたが私と少し距離を置いて、最終的には関係を断ち切りたいと言った時、色んな考えが頭の中に浮かんだ。でも、あなたがどう感じているか、とは考えなかった。あの男の子やあの夜についてでもなかった。私たちの友情は取るに足らないもののように見せたのは私自身だったのに、全てはあなたが変わったからだと信じていた。でもそうではなかった。あなたは私のそばにいてくれて、物理的な距離と時間の経過で解けそうになっているつながりを必死に繋ぎとめようとしていた。


私は全てを、私たちの関係に率直さが欠けていた事のせいにした。「私はあなたの味方だから、誰かと話したい時はいつでも話を聞くからね」と以前は電話をかける度に言っていた。中学や高校ではいきなり午前3時にスカイプで連絡を取り話したりしていたけど、大学ではいつのまにか時差を考慮して決まった時間に話すようになっていった。ありとあらゆることについて何時間も話し続けたり、日の出が見えるまで一緒に泣いたりしたの、覚えてる?大学生になって、お互いの近況を報告することはあったけど、心配をかけ過ぎないように常に付きまとう悲しさについては、無意識に隠すようになった。あなたが数か月前に経験していたであろう痛みや苦しみについて気づかされたのは、たまに会えた時だけだった。私はあなたの親友で、あなたもずっと私の親友でいてくれると思っていた。でも人生には色々あって、季節が移り変わるように私達の友情の形も変わっていった。


私は友情の形がどれだけ変わったかに固執し過ぎて、本質は何も変わっていなという事を完全に忘れてしまっていた。あなたが安心して落ち着いていられるように、私が出来ることをもっとするべきだったのに。私が最も後悔しているのは、あなたの安全クッションになりたかったのに、トランポリンのような役割をしてしまったこと。


年を取るとより実感するのは、本当に助けが必要な時に助けを求めることがどれだけ大変かということ。周りの人の重荷になりたくない、彼らにはそれぞれ人生があるという事を気にかけてしまう。こう書くだけでも疲れ始めるのを感じる。自動的に濾過された言葉や、過去の裏切りや傷心によって作られた見せかけの自分のせいで、骨まで疲れを感じる。


実際には人は一人では生きていけない。自分自身を楽にしたり、守ったりするために誰にも言わないこともあるかもしれないけど、つらい時には信頼する友達が一緒にいてくれるだけで気分が良くなる。改まってカウンセリングセッションをするでもなく、心地よい沈黙の中散歩したり、タピオカを飲みながらその時の雲の形について話したりするくらいシンプルなことでもいい。


もう一度信用するには勇気がいる。自分の気分を良くするものを知ることも、より良い友達になるよう努力することも、勇気がいる。


あなたを失って、ようやくこれらの事に気づいたのは本当に残念だけど、あなたがしてくれたように私も大切な人達に沢山のものを与えれるようになりたい。


もう一つ、二つほど言葉を付け加えよう。

ありがとう。そして、愛しているよ。いつまでも。


たくさんのたくさんの愛をこめて、


あなたのことを想っているいる誰かより


About Kurumi Onishi

物静かだが情熱的な日本出身の22歳の女の子。ジョージ・ワシントン大学で国際関係学を専攻、哲学を副専攻として学び卒業したばかり。ウルフのように日常の何かを超えた潜在的で言葉では言い表せない欲求を持ち合わせている。


Instagram: @kurumion



翻訳 Mutsumi Ogaki

編集 Emiru Okada

グラフィック Ayumi White


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