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  • Jane

日系アメリカ人女性の歴史復元においての演劇の役割


1970年代から80年代にかけて、女性の歴史に関する学術的関心が高まり、世界史で非常に重要な出来事が女性の視点や経験を通じて新たに伝えられています。今年、私は日本人女性が歴史上どのように描かれ、どれほどの影響を及ぼしてきたかを研究し、その概要をまとめる機会がありました。UCLAの学者であるバレリー・マツモトの論文や、日系アメリカ人の生活に関する一次資料を豊富に提供しているDenshoデジタルアーカイブなどの日系アメリカ人女性の歴史を中心とした既存の文献に出会うことで、彼女たちの存在と経験が一般社会にどれほど知られていないかを実感しました。


作家の杉本鉞子や1975年の映画「サヨナラ」に出演したミヨシ・ウメキなど、日系アメリカ人女性の活躍はこれまでも見られてきました。しかし、彼女たちの功績は日系コミュニティ以外ではあまり知られていませんでした。この状態を変えるために、どのようにより多くの観客に彼女たちの人生の物語を伝えることが出来るでしょうか。


多くの人にとって、演劇は一種の現実逃避で、多感覚的な経験は物語を生き生きとさせます。音楽も生の感情を伝えることによって、難しいトピックをより分かりやすく、受け入れやすくして物語をサポートします。これらは歴史を復元するための媒体としての可能性がいかに演劇に秘められているかを強調しています。そして、これは多くの新進演劇作家やプロデューサーがすでに気づいていることです。


最近では、女性主導の劇団であるBurnt Lemon Theatreが、日系アメリカ人で戦時中にラジオアナウンサーをして、「東京ローズ」という呼び名で知られていたアイバ・戸栗の人生についての演劇を行いました。戸栗は多大な影響を与えましたが、物議をかもす悪名高い人物で、アメリカのメディアでは「ファム・ファタール」として性的な魅力がよく言及されていました。


全日本人女性のキャストで、その劇団は歴史を伝えるだけでなく、アジアの女性をプロジェクトの中心に据えて新たな歴史を作っています。さらに、Burnt Lemon Theatreは、電子音を使って東京ローズの物語を伝えることで、現代的で若い観客を魅了しています。2015年には、ミュージカル「アリージャンス(Allegiance)」が日系アメリカ人俳優ジョージ・タケイの実体験をアメリカの観客に届けました。「アリージャンスはサンディエゴで初演され、強制収容所での苦闘を含めた日系家族の物語は多くの観客の心をつかみました。今年、日本で新たに演出・上演されたのはそのミュージカルの人気だけでなく歴史的重要性を物語っています。


どちらの演劇作品も、日系アメリカ人の歴史、特に日系アメリカ人女性の歴史的重要性にスポットライトを当てるのに演劇がいかに役立つか、ということを示しています。アジアの歴史に関する作品が作成され、上映されるほど、アジア系の俳優が出演し、成功をする機会が与えられます。時代の流れと共に、日系アメリカ人女性だけでなく、すべての女性の歴史が上記の演劇作品のように、繊細さ、確実さ、そして愛情をもって語られることが望まれます。



翻訳 Mutsumi Ogaki

グラフィック Emily Mogami

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