• Shu Matsuo Post

ある日本人男性の体験談:フェミニズムは女性を解放し、男性を自由にし、人類を高める


まずはじめに、いくつかのことを言わせていただきたい。


私はマスキュリニティ、いわゆる男性性の博士号


を持っていない。ジェンダー論の学位も持っていない。


私にあるのは、ある物語。


私は自分の名字を妻の姓に変えた。


2017年に妻と私が結婚したとき、私たちは姓を組み合わせることにした。 彼女の出身地である米国では、名前の変更プロセスは簡単だった。 しかし、それは日本では決して単純なことではなかった。 日本では、夫婦が姓を組み合わせたり、名前を変えたりすることは許可されていない。そこで、私は家庭裁判所に


行き、私の要求の承認を求めた。 裁判官は、妻の新しい姓である松尾ポストを採用することを提案した。米国ではすでにこの名前に変更されていたためである。 それで本質的に、私は妻の姓になった。

それが私の人生を変えた。


私自身の名字を変えるまで、日本では夫婦別姓が認められていないことを知らなかった。このように妻の姓を名乗ることを許されたのは、彼女が外国人だからという理由のためだと、日本人同士の夫婦にはその選択肢がないことを知らなかった。日本人女性の94%が結婚後、夫の名字に変えている事実を知らなかった。


母国の不平等について考えることによって、世界中で起きている問題に目を向けるようになった。


同じ仕事をしているのに、なぜ男性は女性よりも多くの給料をもらっているのだろう?

なぜ専業主夫よりも、専業主婦の方が圧倒的に多いのだろう?

ジェンダーの平等を達成すれば、男性にとってどのような利点があるだろう?


男性として生まれてきた私にとって、このようなことについて考える必要は今までなかった。


固定概念に縛られた環境の中で育った私だが、名字を変えたことで、このような役割の現状や危険さについて考えざるを得なくなった。


まだやることはたくさんあると気づいた。


私の周りの女性のほとんどが結婚後、夫の名字を名乗った。その理由を知らずに、ただそうするべきなのだと私は思っていた。ジェンダーの固定概念を変えられない事実、私たちの住んでいる世界の現状だと思い込み、受け入れていた。


S&P500の全従業員の45%が女性だが、女性は上級管理職の約27%しか占めておらず、高額所得者の11%に過ぎない。男性がもっとお金を稼ぐのは当たり前だと思っていた。

私はいろんなことを問い始めた。


なぜ男子は学校の成績で伸び悩むのか?

なぜ刑務所は男性で溢れかえっているのか?

なぜ自殺が50歳以下の男性の死因第一位なのか?


それは、男性が男らしさはこうあるべきだと教え込まれてきたからである。男は強くあれ、感情を表に出すな、我慢しろ、何が何でも勝者になれ、アグレッシブでいろ、金持ちになれ、そしてセックスを楽しめ。


名字を変えたことによって、女性の生きる世界を垣間見ることができた。私たちの文化が、手間のかかる名義変更手続きは女性がしてくれるだろうと期待していることを知り、やっと家父長制の社会で生きる意味を知った。それと同時に、男性優位であるはずの仕組みが、男性を籠の中に閉じ込めていることにも気づいた。

そう。家父長制は、男性も傷つけているのだ。


社会の言う「当たり前」の通りにする必要がないと気づいたとき、私は閉じ込められていた籠から脱出することができた。ジェンダーの平等を追求するなかで、自分の信じる道を生きる勇気を手に入れた。


私がどのようにして自分の信じる道を進んでいるのか。


妻が妊娠した時、私は育児休業を取ることを決意した。上司に相談を持ちかける際、とてつもなく緊張した。長期の休みを取りたかったからだ。どのくらいかというと、7ヶ月間だ。

幸いなことに、理解のある上司だったため、私の希望はすぐに承認された。実際のところ、日本は父親・母親共に、最大一年間の有給の育児休業が認められている。


驚くことに、日本生産性本部の調査によると、男性の新入社員の約8割が育児休業を取りたいと望んでいるが、2020年に実際に育児休業を取った父親は、たった7パーセントだった。それだけでなく、育児休業を取った7パーセントの男性のうち、75パーセントが二週間かそれ以下しか仕事を休んでいない。


2020年、日本の環境大臣、および元内閣総理大臣小泉純一郎の息子である小泉進次郎が、仕事中毒の父親たちに率先垂範して、二週間の育児休業を取ったことで話題になった。父親が子供の誕生のあとに仕事を休むことが珍しいこの国では、大きな出来事であった。


寛大な育児休業制度があるにも関わらず、日本の男性のほとんどが雇用主に要求を却下されることや将来の昇進のチャンスが減ることを恐れて、育児休業を申請すらしない。これらの先入観について知ってはいたが、それでも同じように思わずにはいられなかった。実際に自分が申請するまで、育児休業を取ることがどれほど簡単か知らなかった。


今、この記事を書いている時点で、7ヶ月間の育児休業を半分以上過ぎている。生まれたばかりの息子を毎日見られるのがどれほど嬉しいことか、言葉で言い表せない。私にとって、妻と子と過ごすこの貴重な時間は、どんなお金にも代えられない。


より多くの男性が育児休業を取れば、女性が仕事場で活躍する機会がもっと増えると信じている。女性リーダーがもっと増えれば、組織全体がより多様で包括的になる。


もっとたくさんの国が母親・父親のどちらも有給の育児休業を取れるような制度を整えるべきである。さらに重要なのは、男性が実際に長期的な育児休業を取るような文化を育むことである。それが普及しなければ、実現は難しいだろう。


私は、自分の持っている特権を利用して、世界のジェンダー不平等にまだ気づいていないかもしれない男性達に呼びかけることにしている。メリンダ・ゲイツの言うように、「女性の地位が向上すれば、人類全体が向上する。」そのためには、男性も女性と同じくらいジェンダーの平等を推進し、家父長制を取り壊すことに努めなければならない。



マツオ・ポストさんについて:


Shu Matsuo PostさんはI Took Her Nameの著者。フェミニスト、植物ベーズアスリート、ビジネスパーソンとして活躍している。現在は妻と息子と共に東京に住んでいる。


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Translated by Yuko C. Shimomoto