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  • Sanae Tani

ブラとレースは誰のもの?

 

 私たちが身に着けるものの中で、最も性差が表れるものと言えば何を想像するだろうか。スカートやパンツなどのボトムス?あるいは、パンプスや革靴といったシューズ?


 あくまで私の見解だけれど、一番「男性用」「女性用」という区別が目に見えて大きいのは、アンダーウェアだ。それぞれ形も違えば、ぱっと見の印象もだいぶ異なっているような気がする。でも、アンダーウェアをファッションアイテムの一部として楽しむという側面は、きっと男女共通のものだと思う(もちろん全く気にしない人もいるだろう。どちらも個人の自由だ)。女性は女性用アンダーウェアの中で、男性は男性用アンダーウェアの中で、最大限自分の好きなように楽しむ。他のファッションアイテムほどジェンダーニュートラルにできないのは、身体的な差異もあるし、ある意味仕方のないことだと思い込んでいた。それがバイアスだとも思っていなかった。

 

 だけど1年ほど前、”REING”というアンダーウェアブランドに出会って、自分の思い込みに気付かされた。レースやリボンなどの装飾がない、シンプルなデザイン。誰でもおしゃれに着こなせるカラーバリエーション。快適さを追求したトランクスとボクサーパンツ。そして男女共通で身に着けられるブラレット。モデルビジュアルは、男性モデルも女性モデルも、とても自然に同じアンダーウェアを身に着けている。そうか、アンダーウェアもジェンダーニュートラルにできるんだ、と衝撃が走った。

 

確かに、男性でもブラを身に着けてみたいと思う人もいるだろうし、女性でも、ボクサーパンツやトランクスの方が快適だと感じる人もいるだろう。男性も女性も、アンダーウェアだってもっと自由に、着たいものを着ていいんだと思わせてくれる、本当に素敵なコンセプトのブランドだと思った。



 実際に私自身、あまりブラが好きではなかった。自分の好きなファッションをかっこよく着るために、(別に元々大きくもないんだけれど)胸はなるべく小さめに見せたかった。でも、普通に売っているブラはどうしても多少「盛る」デザインになってしまっていて、だけどさすがに何も着けない訳にもいかないし…そう思って、なるべく盛る機能の無いブラや、薄いカップ付きのキャミソールを選んでいた。でもREINGに出会って、男性がブラレットを着けてもいいなら、女性がブラを着けなきゃいけないこともないんじゃないか、と思えて自分を縛っていたバイアスからちょっとだけ解き放たれた気がした。


 最近、もう一度自分のアンダーウェアに対するバイアスを認識させられる出来事があった。


 ワコールといえば女性用下着の老舗メーカー。でもそんなワコールが2021年10月、クラウドファンディングサービス”Makuake”で、男性用のレースボクサーパンツのプロジェクトを発表した。

 形は男性用の下着として非常に一般的なボクサー。だけどフロント部分以外は、繊細で美しいレース仕様。カラーバリエーションも、ブラック以外にレッド、サックスブルーなどレースの美しさが際立つ色展開。とてもデコラティブで魅力的なアンダーウェアだ。そしてプロジェクトページにはこう記載されていた。


「女性の下着にはレースをあしらった華やかな商品が豊富にありますが、レースを使った男性用の下着はあまり見かけないと思いませんか? もしかしたら、レース=女性のためのもの、という根底意識があるからなのかもしれません。」


 確かにそうだ。その通り。私は、レースは女性のものだと思い込んでいた。というより、男性はレースになど興味がないのではないか、と勝手に決めつけていた。ジェンダーニュートラルなアンダーウェアに出会って感動している一方で、男性用下着のデザインについては、そういえばあまり考えたことが無かった。もしかしたら、私がREINGと出会って感動していた頃「そんなシンプルなデザインじゃなくて、デコラティブなものが欲しいのに!」と感じている男性がいたかもしれない。


 ワコールのこのプロジェクトは、10月23日現在、約280万円の購入金額を達成。585人のサポーターがついている。「こういうセクシーなものをもっと作ってほしい」「シリーズ化してほしい」といったサポーターからのコメントも寄せられている。いかに多くの男性が、こういったレースの下着を望んでいたかが伺えて、ますます自分の思い込みを痛感した。男性はレースの下着に興味ない?そんなこと無かった。ある人はファッションアイテムとして、ある人はパートナーと楽しむため。きっとそれぞれの理由で、レースのボクサーはこんなにも待ち望まれていた。


 女性だけどブラを着けたくない人。男性だけどブラを着けたい人。

 レースの無いシンプルなショーツが好きな女性もいれば、総レースのボクサーを求めている男性もいる。

 全部その人の自己表現だし、自由な選択肢だ。女性用下着の選択肢にはボクサー型があるし、ブラやレースは女性だけのものじゃない。

 今までは男女の要素が決まっていたアンダーウェア。だけどデザインも形も、何を着けるかも、もっと自由になって「当たり前の選択肢」の幅が広がるといい。皆が思い思いに、自分の理想を選び取れる社会。そして誰もが、誰かの理想を「それもひとつの選択肢」と許容できる社会。単なるアンダーウェアの話。だけどそれってすごく素敵だ。



Source:


編集 Emiru Okada

グラフィック Maya Kubota


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