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  • Emiru Okada

Toxic Masculinity


「女性らしく見られることを恐れている男性は、女性と同じように扱われるのを恐れている男性です。」


この記事のタイトルでもある「Toxic masculinity」とは、直訳すると「有害な男らしさ」と言う意味をもっています。ウィキペディアによると、「男性は強くタフであるべき」という伝統的な思考に固執し、怒りなどの感情は高められ、逆にそぐわない行動や思想は非難され、許容されるべきではない、という考え方を指しています。男性読者の皆様、小さい頃にご両親に「男なんだから泣くんじゃない」と言われたり、友達に「〇〇が好きだなんて、女々しいな」「走り方、女みたいだな」など、言われた経験はありませんか?女性読者の皆様、「女性は感情的になりすぎる」「男性は女性が立ててあげるもの」「女性なんだから〜」などの表現を耳にしたことはありませんか?


私はなぜ男性がメイクをしたり、ファッションを好きだったり、涙を流したりすると、「女々しい」と言われるのか、ずっと気になっていました。誰も、女の子はこう言う事をする・男の子はこう言う事をする、と決めたわけでもないのに「女々しい」男性が指摘されるのはなぜでしょう。


以前幼馴染とした会話を思い出したのが、今回この記事を書くきっかけになりました。経緯は覚えていないんですが、昔日本の文化にあった「女性は家に居て子供を育てて、男性は働いて家族を支える」という考えの話題になりました。


私の幼馴染は、「俺は彼女か奥さんには、3歩後ろを歩いてきてほしい」「女が先陣を切って、俺が後をついていくのは好きではない」「リードするのは男の役目」と言っていました。21世紀にもなって「奥さんは旦那さんの3歩後ろを歩く」なんて聞くと思っていなく、驚いたのを覚えています。いつも母には、「男に頼らないでも1人で生きていける様になれ」「結婚が女性のゴールはもう古い」「男に左右されず、決定権を持てるような人生を歩め」と言われ育てられたので、彼と会話をして言葉では言い表せないほど呆れました。


パートナーと同等でいたい男性をどう思うか彼に聞くと、「女と同等って、弱いから先陣きれないだけじゃん」と言っていました。


彼と話した時、これほど無知で新しい考えを受け入れる準備が出来ていない、心の狭い人が居るのだと気付かされました。でも彼は、自分の考え方が間違っていると疑いもせず、普通だと思い込んでいました。「自分の思考は合っていて、全ての基準は自分」と考える事の恐ろしさを知り、周りが見えず何も知らない彼に同情しました。


この体験から数年後、私が大学1年生の時にまた「有害な男らしさ」が存在する事を、再確認することになりました。私は男女混住寮の、一階女子スイートに住んでいました。同じ寮に住んでいた男友達(仮名:ジョン)とすぐに打ち解け、一緒に食堂へ行ったり、図書館で勉強したりしていました。私のスイートに住んでいる他の女子生徒も含めて、一緒に勉強したりして、楽しい時間を過ごしていました。


ですが数ヶ月経った後、他の女子生徒がジョンはゲイなんじゃないか、と噂をたて始めました。その理由として、1人の女子生徒が「笑い方が女の子みたい」と言っていたので、どう言う意味かと問いて見ると、「男の子が笑う時って口元を手で隠すことなんてないけど、ジョンはそうしてるじゃん」と言われました。彼女自身が思う「男の子はこうあるべき」という基準を公共の場で言い、更には彼の性的指向を決めつけるなどあってはならない事でした。


ジョンと知り合ってすぐの頃に、彼が自分は女子が好きだと言っていたのを思い出しました。彼が男性を好きでも、女性を好きでも、両方好きでも気にならなかったので、そう伝えられた時何故急にそんな事を言ってくるのか聞き返しました。すると、「高校時代に女友達が多かったから、ゲイって疑われてたんだ」と打ち明けられました。その時の話を思い出し、私は「決めつけるのは良くないんじゃない?彼、前に彼女がいたって言ってたよ」とその子に伝えると、「口ではなんとでも言えるじゃん。じゃあバイかもしれないね」と言い切っていました。何も言葉が出て来ず、彼女の無礼な行動と発言に唖然としていたのを覚えています。確信を持って視野の狭い発言をする彼女も悪いですが、そんな彼女に対して何も言わなかった周りの人達も恐ろしかったです。彼女の失態を誰も正そうとはせず、無言で頷いていました。この時がキッカケとなり、その場にいた大半の女子生徒とは連絡を断ちました。


あなたにとって男性的、あるいは女性的な振る舞いとはどう言ったものですか?もしその答えに、「男性はこうあるべき」「女性はこうじゃなきゃいけない」など独自の観点を押し付けるような表現が含まれていたら、あなたも「有害な男らしさ」が未だに存在する原因の一つでしょう。押し付けていなければ、男友達がどう笑おうが、女友達がどれほど野心的であれ、あなたが反応する必要はないはずです。マイノリティーの友達のために何かができるように、自分で調べて発信していきましょう。そして反マイノリティーな価値観を持った方々が参考にできるように、些細な事でも会話を始めましょう。



参考文献:


グラフィック Ayumi White


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