• Umi Thakali

ハーフの失敗作だと思っていたわたしへ



自分はハーフの失敗作なんだ、とずっと思っていた。


わたしのパパは、ネパールというインドの隣の小さな国から、16歳の時、単身で日本に働きにやってきて、ママと結婚し、わたしが誕生した。東京生まれ東京育ちのハーフのわたし。


私の人生はこの説明の連続だ。出会う人との会話は必ず「苗字カタカナだけど、ハーフ?」で始まる。そこから、ネパールという国はどこにあるの?パパとママはどうやって出会ったの?どこで生まれたの?家では何語を話すの?ネパールの言葉を話せるの?・・・だいたいこんな風に尋ねられる。お決まりでいうセリフは全部暗記していたので、小学生から同じ説明をしていると思う。


人々は無意識に私の「日本人らしさ」を値踏みしているのだと思う。普通の日本人として接していいのか、日本人という箱に入っているのか、テストしているんだろう。こうして、生きていく中で「ハーフ」であることをいつも意識させられる。ハーフだから、ニコニコしながら自分のプライベートな情報を初対面の人に説明するのが、当たり前なんだと思った。


自己紹介はまだいい方だ。


「ハーフなの?でもハーフに見えないね!」何回言われたかわからない。かと思えば、「ハーフっぽいと思った!」と言われたこともたくさんある。「ハーフっぽい」って何なんだろう。


日本にいれば「日本人らしさ」を何度もテストされる。でも、ネパールに行けば「日本人です」と言わなくてはならない。ネパールの家族はみんな優しかったが、ネパール語の会話には入れなくて、そこでも疎外感を感じた。


私って何なんだろう。と思っていた。


さて、そんな風に育った私は、常々自分を「ハーフの失敗作」だと思っていた。子供の頃の小さな世界での美の基準なんて、テレビの芸能人たちがすべてだった。そこで「かわいい」「きれい」とされる人たちの姿はみんな肌が白くて、目がぱっちりして、私とは違って見えた。かといって、「ハーフタレント」として出てくる人たちは、もっと肌が白くて、背が高く、鼻も高く、青い目、ふわふわの髪の毛、これも私とは違った。


私みたいな人はどこにもいなかった。

私ってかわいくないんだな。そう思った。


思春期になれば、周りの子たちは、「黒くなりたくないから」といって日焼け止めを塗り始め、お化粧をして、目を二重(ふたえ)にしはじめた。「ハーフタレント」を見て、「人種が違うよね」「ハーフなんだからかわいいに決まってる」「ハーフ顔になりたい」と話していた。「ハーフなら英語も喋れて、顔も可愛くなれたのに。ハーフに生まれたかった」と、私の目の前で言う人もいた。でもその「ハーフ」に、わたしは含まれていなかった。


「わたしもハーフなんだけど!ネパールだから意味ないよね」と自虐的に言って笑う度に、心の中で大切なものを切り刻んでいる気分だった。


「わたしも白人とのハーフだったら良かったな。」とずっと思っていた。自分の浅黒い肌と重たい目が嫌いだった。ハーフなのに外国語が話せなかったことも、嫌だった。いつもいつも「ハーフ」であることの説明ばかりさせられ、「ハーフ顔で可愛い」とは言われないし、英語も喋れないし、損だ。どうしてわたしはネパールとのハーフなのかな。どうしてパパはネパール人なんだろう。

「ママ、どうして白人のイケメンと結婚しなかったの」とママに聞いて困らせたこともある。


あの頃のわたしに、21歳になった私から、伝えたいことがたくさんある。


そんな風に自分にキツく当たらないで。

世界には本当に多様な人がいて、あなたを含めて、それぞれの人がすべて大切で美しい、っていうことをこれから学ぶから。

テレビに映る人たちと違っていても、あなたが美しいことに気づけるよ。


今でも「ハーフっぽい」って言われるし、「ハーフに見えない」とも平気で言われるけど、

もう強いから気にしないようになったよ。


周りの基準に振り回されなくても、あなたはとっても美しいよ。

21歳のあなたは自分をすごく愛してるよ。

ていうか・・・冷静に鏡見て!可愛いんだから!


何度も何度も何度も、わたしにラベルを貼ろうとする人々に出会った。「日本人」か「それ以外」という、二つの箱に簡単に当てはまらない「ハーフ」のわたし。人々はわたしを品定めし、どちらかの箱に押し込めようとする。ひとつひとつの言葉に悪気はないのはわかっている。でも、相手に悪気がないからという理由で、わたしの心が傷ついていい理由にはならない。


あの頃のわたしに伝えたい。

誰かに言ってほしかったことを。

どちらの箱にも入らなくていいんだよ。

わたしはわたしだから。




About タカリ海美 

ネパール人の父と日本人の母を持ち、1999年、東京に生まれました。現在大学2年生。今ではセルフラブを学ぶことができたのでとっても幸せです。英語も自分で勉強できたので結果オーライ!ハーフの人もそうでない人も、周りに惑わされず、自分を愛することを知ってくれたらいいなと思います。


Instagram: @umi_thakali


グラフィック  Ayumi White 編集 Emiru Okada

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