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  • Luna

私とあなたを隔てる大事な精神の境界線


悩みはチョコレートやクッキーのように、簡単に半分に割ることはできないのでしょうか?


あの時、「大変な時こそ痛みを分かち合おう」と、私はあの人を慰めました。

心を痛めているあの人の姿を見るのは、とても辛かったのです。どうしたら良いのか分かりませんでした。「どうにかして助けたい」という思いがとても強く、自分なりにたくさん考えました。


「痛みを二分の一にしてお互いが負担すれば、あの人は楽になるだろう」


でも事は複雑になり、お互いが傷つく結果に終わってしまいました。


当時の自分に何かアドバイスしてあげるとしたら、

  • 痛みを分かち合うことは、そう単純ではないということ

  • 思考や感情など、自分と相手が抱える精神的な「持ち物」を定期的に確認すること

だと思います。


「同情」することと「共感」することには違いがあります。

同情とは、相手の感情や思考を「認識」し、思いやることを指します。

一方で人は共感する時、相手の立場に立ち、自身の身で相手の心理機能を「体験」します。


誰かの心の痛みに共感する時、自身も辛くなってしまうことはよくあることです。

人間だから当然、相手に「共感」することがあるでしょう。「共感力」は人間の大事な能力の一つであり、共感されることで相談している側は安心することがあります。だから、共感することは決して悪いことではありません。


しかし、自身の中で感じた相手の痛みを自分のものと区別できなくなってしまうと、知らない間に自分と相手のどちらも傷ついてしまうかもしれません。


相手の痛みや感情を同程度のインパクトで感じることは、相当なエネルギーを要します。共感して疲れたあなたを見て、相手はあなたに迷惑をかけてしまったと落ち込むこともあるでしょう。お互いを傷つけたいとは決して思っていない、むしろ相手の力になりたいと考えているのに、です。どうすれば自分も相手も傷つけずに、相談に乗れるのでしょうか?


自分と相手の間に、精神の境界線を築いてみることです。

境界線を引くことは、必ずしも相手を突き放すということではありません。自分と相手の感情や思考を「区別」することなのです。


相手の感情は相手の中で起こっているものだから、私たちが侵入して何かしたり、相手から奪って自分のものにしたりすることはできません。境界線を引くことは、なかなか難しいことだとは思いますが、少しずつ経験と共に学んでいきましょう。


例えば、私は誰かの悩みを聞く時は相手の話に注意を払い、相手がどんな助けを必要としているのか考え応えるようにしています。もしも自分が共感しすぎて辛くなってしまった、もしくは客観的に相手の悩みを捉えられなくなってしまった場合には、具体的な解決策を考えるために相手から少し距離を置くことがあります。距離を置く前に、相手のことを想っていることと、一緒に解決法を考えたいからこそ少し時間が欲しいことを伝えるようにしています。


これは私のやり方なので、それぞれ対応の仕方があると思います。

頼られる側の心のケアについては、Blossom the Media 編集長の岡田さんとウェブメディアのMOREDOOR がコラボした「頼られる側の心のケアは?」という記事をぜひ読んでみて欲しいです。「今日からできるTo Do リスト」も掲載されていて、相談に乗る側の心のケアについてとても参考になると思います。


境界線を引くことで、「相手を傷つけているのでは?」と心配になることもあるでしょう。その際は、相手が自らの健康を考えてあなたに相談しているのと同じように、あなたはあなたの健康を考えなければならないのだと捉えてみてください。相手と自分の悩みを区別するために、精神的な境界線を引くことは時には必要なのです。一方で、自分と相手を隔てる完璧な精神の境界線はないと思っています。みな何らかの形で他人に影響を与えたり、与えられたりするからです。


二枚の紙をのりで貼り合わせると、剥がす時には必ず「跡」が残ります。

人と関わると相手から何かを貰い、自分も何かを与えるのです。


自分と他人の精神の要素は目に見えません。他人の相談ごとが、無意識のうちにあなたの頭の中で混じり合ってしまうこともあるでしょう。そんな時こそ、自分の感情や思考といった精神の「持ち物」を確認して、境界線を引いてみてそれをうっすらでも見えるようにしたら、他人の相談に乗ることが、今より楽にできるようになるかもしれません。


そして何より、相談に乗る上で一番大事だと思うのは、相手に温もりを与えるということです。相談された側はきっと相手のために何ができるだろうか、と必死に考えてしまいがちですが、相手が一番求めているのは、あなたの温もりなのかもしれません。話を聞くだけで、そばにいるだけで、あなたはもう十分なことができているのです。




編集 Emiru Okada

グラフィック Satomi Shikano


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