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  • Kiana

私のその後 1:性犯罪の被害者が経験した4つの感情

内容注意:性被害について書かれています



私は数年前、性暴力の被害に遭った。


実際に被害者になって初めて、身をもって理解した。性暴力は、人間の尊厳を傷つける行為であると。またそれは、加害者との関係性に関係なく起こりうることであることも知った。


加害者は見知らぬ人かもしれないし、私のように知人かもしれない。

恋人や家族という、本来は愛のある関係の中にでも起こりうる。


愛や好意があろうとなかろうと、こちらの意思とは無関係に、歪んだ性認識を持った人によって行われる。実に無情で残忍だと思う。


初めは自分の身に起きたことを理解できなかった。

ただただ前夜の記憶がなくて、どうして家にいるのかも理解できなくて、起きたことを全て親友に話した。

彼女が「それってレイプの可能性ない?」と言ってくれて、初めて自分の身に起きたことの重大さに気づいた。


記憶のないうちに事件が起きたり、あるいはそうは思いたくない関係の人からされたことに対しては、もしかしたらそれが性暴力だと気づけないかもしれない。いや、ほとんど気づくのは難しいくらいだと思う。

それからの日々については、どれから話せばいいかわからない。 最初に恐怖、次に憎悪、自己嫌悪、それから人間不信。一番根強いのは恐怖と人間不信。一番辛かったのは自己嫌悪だ。

今回は少しだけ。今後シリーズとして、複数の記事を通じて紹介していけたらと思う。ただ、これはあくまで私が感じた感情であって一概に被害者全員が同じように感じたり、同じ深さや順番で苦しむとは言い切れない。事件がすべて異なるように、被害者の気持ちもすべて異なる。



恐怖

あらゆるものが怖かった。


事件の日の状況を思い出させるもの。自分の体を傷つけることができるもの。

夜、お酒、ワイン、居酒屋、地下鉄、最寄駅、住んでいた街、包丁、はさみ、火。


だからしばらくお酒を見ると吐き気がしたし、包丁を使う調理を無意識に避けていた。

今でも住んでいた街や、その当時使っていた地下鉄の路線には近づきたくない。


怖いのに逃れられないもの。 睡眠。記憶のない時に起きた出来事だったので、寝るのがとにかく怖かった。夜は地獄だった。


今でも怖いもの。背の高い男性に囲まれること、後ろから聞こえる革靴の靴音、男性の高めの声、満員電車、上りのエスカレーター。今でも満員電車は乗れないし、年代が近くなくても男性に後ろを歩かれるのがとにかく怖い。 生活の大半でリュックか、大きなトートバッグを持つようになった。自分の背中を守るためにしていたことだけど、気づいたのはしばらく経ってからだった。


何よりも嫌な恐怖がある。それは、大切なパートナーがたまに他人に見えること。

彼と初めて会った日に、事件のことを話した。職場でも性暴力防止係の兼務を名乗り出るほど、性暴力について自分で知識を得ようと積極的に行動してくれている。

そんな彼であっても、無条件に他人に見えてしまう時がある。こういう時に、私は男性一般を怖がっているんだと自覚する。加害者たちによる性暴力が、私に残した傷は本当に許せないと思う。



憎悪

とにかく加害者が憎かった。


「なんであの人たちは毎日のうのうと生きているんだろう?」

「世界中の人に『この人性犯罪者ですよ』って言いたい。じゃないとまた誰かが襲われる」

「彼らは何も考えていなかったようだけど、私の人権を侵害した自覚はあるのだろうか?」


だんだんとわかってきたことだけど、私の場合、憎悪は恐怖を弾き返すために存在していた。あっても仕方のないものだと思って、彼らが私の人生から去った時、私の憎悪はどこかに行った。



自己嫌悪

一番辛かったかもしれない。シリーズでも追ってさらに詳しく紹介したい「セカンドレイプ」に苦しんだ時期。


加害者ではなくて周りの人から言われた、心無い、悪気のない言葉に身体中を刺されたような気持ちだった。

「お前が(襲ってもいい)そういう女だと思われたから襲われたんだろ」

「裁判したいの?え、そこまでしたいの?なんで?(笑)」

「よかったね、レイプじゃなくて。大したことなくて」

「お酒強いって言ってた女のフラグwww 酒のトラブルは学生で終わらせておけよ」


一つ一つ覚えている。一人一人誰がどんな状況で、どんな表情で言ったか、数年経っても覚えている。たまに夢にも出てくる。こういう言葉に私は影響されて、自分のことを責めた。


「どうして仲良くないのに飲みに行ったんだろう?むしろ苦手な人たちだったのに」

「トイレから戻った後、勝手に注がれていたあのお酒を飲んだ私が悪いのかな」

「そもそも、あの日までにたくさん飲み会に参加して、飲めるキャラになった私が悪いんじゃないか?」

「私はもう汚れた女。価値がない女。誰からも愛される資格はない」

誰にも言われなくても、こんなふうに自分を責めたこともあった。


人間不信

加害者の彼らには「高学歴エリート社会人」という表の顔と、「性暴力の加害者」という裏の顔があった。彼らにとってはたった一度のおふざけで、偶然手にしてしまった裏の顔かもしれないけど、その二面性が私を人間不信に陥れた。


あらゆる男性には加害者になりうるような、暴力的でリスペクトのない裏の顔があるのではないか。そんな風に思っていた。


四つの主な感情が、しつこく繰り返し襲ってきていた。

今では家族や友人、パートナーのおかげで恐怖以外の感情はほとんど無くなった。 でも、誰かが同じような被害に遭った話を聞いたり、ニュースを見たり、ちょっとしたきっかけですぐに大きな波となって恐怖は襲いかかってくる。


一人一人事件の中身が異なるように、抱く感情も、乗り越えるまでのプロセスも異なる。

だから一概に参考にはならないかもしれないけれど、あくまで一つの例として私の経験したことを、『#私のその後』シリーズを通じて知っていただければと思う。




編集 Emiru Okada

グラフィック Ren Ono

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