• Mia Glass

「とにかく運動しなよ」と人に言うのはやめよう


「とにかく運動しなよ!」


それが家族からであれ、医療専門家からであれ、メンタルヘルスの問題を抱えている人なら、誰でもこのフレーズを聞いたことがあるでしょう。誰かが落ち込んでいたり、不安を抱えている時に人はよく、「体を動かそう!」とアドバイスする。気分を高揚させることで知られているエンドルフィンが、運動で分泌されることは科学的に証明されていて、もちろんそれについて議論するつもりはない。しかし、皮肉なことに、メンタルヘルスの問題を抱えている人にとって運動というのは、多くの場合最もしたくない、もしくは出来ないことなのだ。


私も気分がどん底にまで下がっている時は、ベットから起き上がるのにも苦労するし、ましてや、スニーカーを履いて外に出るなんて。刻々と時間が経過する中、私が唯一成し遂げたのは、重い足取りでキッチンにおやつを取りに行ったこと。空虚さを感じる時に周囲の人から聞こえてくるのは、走りに行くようにということだけ。


高校四年間ずっとクロスカントリーと、陸上走者の代表チームに入っていた者として、走ることの利点と好きな理由は率先して言っていた。授業が終わってから、外が暗くなるまで毎日練習をしていた。チームメートと共に笑い、自分の新記録を達成した時には、コーチと感動を分かち合った。そのような最高の思い出の背景にあるのは、靴ひももろくに結べないような日々。それでも私たちが激しく嘔吐していない限り、練習を休んでいいい理由はなかった。精神的に疲れている、ということをコーチに説明しようとする代わりに、「体調が悪いわけではないのだから、練習に出て、体を動かすと気分が良くなる」、と自分に言い聞かせていた。


高校最後の大会まで持ちこたえ、私の安堵の涙はチームメートの悲しみの涙の中にひっそりと隠れていた。その秋に大学に進み、これまでずっと大好きだったスポーツが、自分の人生から消えていくのを目の当たりにした。これは意図的に計画したことではなく、自然に起こったこと。心の奥ではまだ走ることが大好きだったし、頭の片隅に走ることがちらついたけど、自分の中に深く根付いた運動とメンタルヘルスに関する圧力から、どうしても自分を解放しなければならない、と私の体と心が訴えていた。


周りのみんなは私に運動するように言っていたけど、私が本当に必要だったのは運動しなくても大丈夫だよ、と言ってくれる人だった。一部の人にとっては、走るためのエネルギーを奮い起こすことは、彼らのメンタルヘルスに不可欠なのかもしれない。しかし、私にとってそれは、これまでのどのような進捗も後退させることだった。走ることで自分の中の問題を取り除ける、という考え方が、私の健康に悪影響を及ぼしていたことに気づくのには、とても時間がかかった。


何か月かかけてこの誤った考え方から立ち直り、必要な休息を取ったが、それでも私の気分は良くならなかった。なので、もう一度ランニングからやり直すことにしたけど、今回は今までとは大きく違うアプローチを取ることにした。ランニングはメンタルヘルスに効果がある、と自分の脳に言い聞かせるのではなく、自分の調子がベストの時に行うアクティビティになった。


このようにして、私は走り続けた。毎朝走る週もあれば、週に一回走るのにも苦労するような月もあった。この記事を書いていると、私が一貫性がなく、まとまりのない人だと感じるかもしれない(これについては議論しません)。しかし、人生で初めて心穏やかに、運動と向き合えることが出来た。走ることで、「自分を直す」というプレッシャーは無くなり、本当に幸せな気持ちになるアクティビティになった。


以下の理由から、私のルーティーンを誰にでもお勧めしているわけではありません。1)あなたの体は、このようなワークアウト方法は、むちゃくちゃだと思うでしょう(もう少し一貫性を取り入れようと、私が努力していることは明言しておきます。)そして2)誰もがその人自身の心の葛藤を持ち合わせているので、その対処方法も違うものでなければいけない。この記事を通して、一日中ベッドにいたいと思うのが異常ではないということを知って、安心感が得られることを願っています。たとえそれがたまにとる、メンタルヘルスのための運動からの休息だったとしても。


メンタルヘルスの問題を抱えている人と、その周囲の人たちが理解しなければいけないのは、「とにかく運動する」事が。いつも実行可能な選択肢であるとは限らず、逆効果になる可能性がある、ということ。運動が新しいセラピーの一種として語られる成功談の背景にあるのは、クローゼットの奥でスニーカーが埃をかぶっている、という大勢の体験談。感情は、ただの言い訳として扱われるべきではない。嘔吐が練習を休む理由になるのなら、メンタルヘルスの問題もそうであるべきだ。


編集 Emiru Okada

翻訳 Mutsumi Ogaki

グラフィック Maya Kubota

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