• Meg Hoffmann

自分のアートが教訓的である必要はない。


東京を拠点に活動するアーティスト、マイケル・ホーと、現代美術が社会政治的問題を明らかにする上でどのような役割を担っているかについて対談した。



数年に一度、運よく全身全霊で夢中になれる作品に出会うことがある。観る人を惹きつけ困惑させ、それでいて心を浮き立たせる、そんな作品。観れば観るほど欲してやまなくなる。


昨年の11月、マイケルのコレクション展『Tokyo Season 1』で初めて彼の作品に巡り合った時にそう感じた。作品の大胆な存在感、完璧なまでに美しい立方体、そして絵画の迫力に一瞬で魅了され、それらを“理解”しようとすればするほど、かえって引き込まれていった。


コレクション展を後にした私は、このアートを生み出した人物についてもっと知るべく、はやる思いで彼に連絡を取った。


マイケルは快く自分の作品や東京での芸術活動についての対談に応じてくれた。自身のスタジオに迎え入れてくれ、そこでアートや政治、学問など、様々な話題について話し合った。



マイケルについて:


マイケルはハワイ州のハワイ島で生まれ育った。父はエンジニア、母は教師という非常にアカデミックな家系であったが故に、教育の大切さが身にしみている。子供の頃、父と共に物を組み立てたり作ったりして遊び、それを機に幼少期より芸術への興味が目覚めた。アジア系の家族が子供に芸術の道を勧めることは珍しいが、マイケルの家族は違った。マイケルのアーティストとしての活動を初めからずっと応援しており、その後押しのおかげで彼はカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の芸術学部で美術を学ぶことにした。最優等賞であるsumma cum laudeを取得し美術学士として卒業した後、2018年の終わりに東京へ引っ越した。



作品によく政治的や宗教的な要素が含まれているように感じますが、それについて詳しく教えていただけますか?


「自分はもともと社会政治化されているアートシーンから来ており、特に日本で暮らすようになってからは、何かしらの社会政治的アジェンダを自分の作品に取り込もうとする感性が増幅されたように思う。周りの人が自分たちにとって関係のあることだったとしても、日本や世界で起こっていることについてあまり話題に出さないように感じる。


日本のゆとり教育は現在起こっている社会問題や政治問題についてあまり生徒に教えない。さらに悪いことに、それらについて発言することも助長しない。だからアートがこれらの問題について話し始めるきっかけになることが重要だと思う。


現代アートの目的が教育だとは思わない。自分の作品が観る側にとって、その人が今知りたい以上に何かを知りたくなるよう仕向けることはできない。政治的アートの多くは教訓的であろうとするけれど、自分の作品はなんとなく何かについて考え始める、そんなきっかけになってほしい。



自分の作品はなんとなく何かについて考え始める、そんなきっかけになってほしい。


作品にテーマを取り入れる際、あえて滅茶苦茶で曖昧な方法で表現するようにしている。自分の作品が特定の何かについて啓発することはないんだ。それは無理なことだから。代わりに、観る者に形の異なるパズルのピースを与える。それらのピースは形が合わないことが多い。そのようにして、受け手に共通点を見つけるよう促している。」


すごく共感できます。私も多くの社会政治的問題を@blossomtheprojectで取り上げるので、読んでくれる人達にこれらの投稿が単なる会話のきっかけであるに過ぎないこと、ここで終わりではないんだと改めて言わないといけない気持ちによくなります。


「その通り。政治的アートの好きではないところは、“これが正解だ”というものを決めてしまうと、そこで考えが止まってしまう。一つのトピックを深く掘り下げて、そこからどんどん視野を広げていくことが重要だと思う。」


作品を作るプロセスやアイデアはどんな感じですか?


「携帯にリストがあって、それがコーヒーを飲む度に長くなっている。アイデアは全部何気ない瞬間から来ていて、何が視覚的に、そして概念的に合うか感じ取って選んでいる。リストは膨大で、自分が見た写真、ポップカルチャーの引用、聖書の抜粋などから成っている。」


信仰心の深い家庭で育ちましたか?


「いいえ。宗教が社会における役割に興味があるから、キリスト教や宗教に惹かれるだけ。アートは自発的でないといけないんだ。常に受け手に対してこう感じて欲しいとか、自分の考えについて教えることができるわけじゃない。実際は、観る人自身が自分で知識を概念的に理解し、情報を再構築しなければならない。ポップカルチャーや聖書の引用は、それらを理解する第一歩となる。上手く利用すれば、アートはアクティビズムにおいて強力な政治的道具になり得る。そして芸術の強みは、観る者を刺激するところにある。」


上手く利用すれば、アートはアクティビズム(社会運動)において強力な政治的道具になり得る。そして芸術の強みは、観る者を刺激するところにある。



作品に登場する形やキューブはどこから来ていますか?


「キューブリックの 『2001年宇宙の旅』(原題:2001: A Space Odyssey)の登場人物からアイデアを得ている。どの文明、文化にも一枚岩は存在する。どの宗教もその単純さゆえに画一的な形状を使うことがあり、実体のない存在の信奉は何らかの精神的つながりを誘発させる。節度やスピリチュアルな感覚を育てるための道具であり、人々が未知の存在についてもっと考えるきっかけを作り出す。」


アーティストとして今後の予定はなんですか?


「もっと多くの人に自分の作品に触れてほしいし、届いてほしい。教育は自分が仕事する上でもすごく重要だから、そのうち日本で美術の教授になれたらいいな。アートは誰かに教わって作るものじゃなくて、まず第一にアーティストである必要がある。アーティストであるということは、僕にとって、自分の作品が現実世界にも影響をもたらすようにすることを意味する。」


Thank you Michael for allowing me to interview you and share your story!


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Instagram @michaelho_official Website https://www.michaelho.xyz/



翻訳 Yuko C. Shimomoto

写真 Meg NH