• Emiru Okada

I Love Myself: My Body My Choice


考えてみれば私は生まれてから、痩せていた記憶がない。


太ももはいつもくっついていたし、洋服は必ず同い年の子より大きなサイズの物を着ていた。親戚と会ったり、テレビ電話をすると必ず、「相変わらずぽちゃぽちゃしてるね」か「相変わらず太ってるね」と言われていた。


周りの女の子たちがオシャレに目覚め、ファッション雑誌やティーン雑誌を読み始めていた頃、私は絵を描いたり小説を読む事に没頭していたし、周りがモデルに憧れダイエットを始めた頃は、美味しい食べ物やカフェのコーヒーにハマっていた。


「皆んなが読んでいるファッション雑誌って、何がそんなに面白いんだろう…」、と興味本位で初めて買った、小説以外の本は「セブンティーン」だった。初めてメイクする子達向けの「初心者メイク講座」、「デートに行く時は〇〇風なコーデ!」、「人気モデル私服ファッションチェック」など、色々な企画で埋め尽くされていた。そんな雑誌を初めて読んだ感想は、「キラキラしている」だった。毎月発売されるこの雑誌を、ウキウキしながら買っていた。でも買う度に明白になっていった事が一つある。


それは、私と似た体型の子は1人も出てこなかったという事。

ページを何枚めくっても目に入ってくるのは、華奢な女の子たち。全体的に細く、腿の間から向こうが見えていた。度々目に入ってきていた、「俺たちの理想の彼女!」「部分痩せダイエット法」などの企画。私服コーナーではモデルたちが、XS・S・Mを着た時の見た目の差を語っていた。「人気モデル〇〇大解剖!」と題されたページには、よく見るモデルの身長と体重、腕・腿・ふくらはぎの細さ、目の大きさ、などが記載されていた。


可愛いとされる女の子と、自分の身体の共通点が一つもない事に、ただただ困惑した。

幸いアメリカに居たため、洋服のサイズに困ることはなかった。自分が可愛いと思った物を着ていたけれど、日本の雑誌では、「ぽっちゃり体型の人が着るとお腹や体のラインが気になっちゃう」などコメントされていたり、「NGコーデ」や「男子が萎えるコーデ」、と取り上げられていた。


私も幼い頃から太っていただけあって、身内から体型に関するコメントは何度も聞いてきた。

でも身内から「太り過ぎじゃない?」「ちょっと痩せたら?」など言われた時は、「私の健康を心配してくれてるのかも」と思い、自分の食生活や運動不足を見直すキッカケと考え、そこまで傷つくことはなかった。

クラスメイトや従兄弟から心ない事を言われた時もあったけど、「外見の事しか言えないんだね、可哀想」「あなたが一瞬で直せる訳でもない事を私に言う理由は?」「私の体型の事で、あなたに迷惑かけた?」「で?」など、レパートリー豊富な返しをしていたので、逆に相手の方が傷ついてたかも、こんなデブに言い負かされて(笑)


だけどインターネットやSNSを見ると、体型が「標準じゃない」人の見た目に対して、求められているわけでもないのに、意見を述べている人をよく目にする。体型のことしか指摘せず、「努力不足なだけ」「絶対付き合いたくない」など決めつける発言をする人達。自分の体でもない、ましてや身内や親しい関係にあるわけでもないのに、勝手に他人の体型について発言をする人達。


つい最近の話だと、3月18日に、東京オリンピック・パラリンピックの開閉会式のクリエイティブディレクターである、佐々木宏氏が辞任した。佐々木氏は渡辺直美さんの容姿を侮辱するような提案(ブタ耳を付けさせ、「オリンピッグ」として登場させる)をした事が原因と報じられた。この報道で傷ついた人達は、数え切れないだろう。


今回は、標準よりもふくよかな体型をしている人達が、社会の偏狭な美の基準を押し付けられてしまった。だが、一定の体型や見た目以外は「美しくない」、「社会の批判を受けても仕方がない」と考えられてしまっているのは、ふくよかな人達だけではない。増量できない、細い事がコンプレックス、と言う人達も心が傷んだはず。友達や身内、インターネット上でなんとなく言われた一言にひどく傷つき、摂食障害を発症してしまった人達も数多く居る。現に私の周りにも、かなり前に言われた事が原因で、「どれだけダイエットをしても、自分が醜く見えて仕方がない」、と言っている人が何人か居る。




「もうちょっと痩せたら・ふっくらしたら可愛いのに」

「細いんだから、体型のことで悩んでるはずがない」

「メイクとかの前に痩せろ(笑)」

「デブって呼ばれたくないなら痩せればいい」

「自己管理がなっていないだけ」

「だらしない体型で、見てて恥ずかしい」


皆さんもこのようなフレーズを聞いた覚え、見た覚え、または言った覚えありませんか?他人の外見を馬鹿にしたり、体型についてコメントされている人を見て、笑った、もしくは黙っていた覚えはありませんか?


言っていた過去があったり、言っている本人に注意をしなかったのなら、残念ながらあなたもこの偏見が今も存在する理由の一つでしょう。理由はどうであれ、見過ごしてしまった事や、言ってしまった事は、何をしても変わりません。相手を傷つけてしまった、自分が偏狭的だった過去は変えれません。

でも、今後ボディーポジティブな社会になる様、貢献する事はできます。


周りの人と比べるのではなく、自分にしかない良さや長所を探して、もっと誇りに思いましょう。

性別は関係なく、自分の身体が「平均」より大きくても、小さくてもいい。

自分のペースで減量してもいいし、増量してもいい。

世間や平均に当てはまらなくても、自分の身体を愛せる様になりましょう。

皆それぞれの、ありのままの自分を愛しましょう。


私も外見で判断はせず、その人の性格や個性と向き合える人間になりたい。

自分が当事者でない問題も、積極的に学んで知識を増やし、当事者の人達の味方になりたい。

人の粗探しをするのではなく、その人の良さを尊敬して、褒めれる人間になりたい。

他人や社会が求めてくる理想や基準なんて、どうだっていい。

自分が自分を愛せる事の方が大事なのだから。


自分の体の事は、自分で決める。

決めるのは私。決める



『I Love Myself』は…

日本における基準がもっとインクルーシブ(包摂的)になるように。

誰もが自分の好きなように、自分に素直に生きれるように。

そして何よりも、ありのままの自分を愛せるように。

という様々な願いが込められているシリーズです。


題材は日本における基準ですが、私はこのシリーズを通して日本に住んでいる方々に限らず、自己愛のメッセージを伝えたいです。他にも皆様が疑問に感じる日本の「美の基準」などありましたら、以下のリンクにお送りください。

https://forms.gle/7yZkD4C6JA7xB8iE9


参考文献:



グラフィック Ayumi White