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  • Karin Shimoo

メンズメンタルヘルスの先

今月はメンタルヘルス月間です。日頃からメンタルヘルスの啓発活動に関わるBlossom the Media にとって、本腰を入れなければいけない一ヶ月です。


私は本誌の看板を借りながら(小さな)執筆活動をしていますが、よく画面の向こう側のあなたの姿を想像しながら筆を進めます。あなたが読みたいことは何なのか。私が書くことが、あなたの「知りたい」を満たしているのか。はたまた、自分の筆の進み方を私だけが愉しんでいるのだろうか。読んでもらったからには、あなたの一日に何かポジティブな影響を与えたい。オーディエンスに向けて書く言葉を選ぶ作業は責任が伴うな、と思いながら書いています。


でも今回の記事は、読者さんの希望を満たさない記事かもしれません。本誌の読者の9割近くは、女性の方です。ジェンダーの枠組みにあまり重きを置かないようにしている私ですが、このデータを知ってから、どうしても言葉の舵を女性に向けて切ってしまいます。私自身もそちらの方が書きやすいのかもしれません。


ですが、今月がメンタルヘルス月間だからこそ、あえて「メンズメンタルヘルス」について皆さんと考えたいなと思います。なぜなら、メンズメンタルヘルスは、私たち女性を含め、全ての人に関係しているからです。


そもそも、なぜ男性だけのメンタルヘルスにスポットライトを当てる必要があるのでしょうか。


それは、「男らしさ」を保つために、メンタルヘルスとの隔離を余儀なくされている現状があるからです。「理想の男性像」になるべく、悩みを相談せず、縁の下の力持ちにならなければ、というプレッシャーを感じている男性が今もたくさんいるでしょう。「2023年にそんなマッチョイズムは通らない」「今はそういうジェンダーロールを気にしない人が多い」と思う方もいるかもしれません。


しかし、果たしてそうでしょうか。私には最近中学生になったばかりの弟がいますが、彼や彼の友達が熱中するアニメのキャラクターはいつも「孤高のオオカミ」タイプの男性です。誰にも頼らず、陰からチームを支える。そんな男性像がまだ、かっこいいとされているのではないでしょうか。中高生を中心に若者が活発に使うTikTokでも「アルファ男性」(日本でいうと、「男の中の男」)や「シグマ男性」(一匹オオカミな男性)が頻繁に取り上げられています。


そして、未だに「結婚するなら年収〇〇以上じゃなきゃ困るよね〜」という声を聞くことがあります。女性の価値が容姿で測られるように、男性の価値は彼の働きぶりや、誰かをどれくらい経済的に支えられるかで決められてしまっていると思います。もちろん、全ての人がそうではなく、徐々にジェンダーに対する期待を持たず柔軟な考えを持てる人が増えていると思います。ただ、私の個人的な感想ですが、まだまだそういうジェンダーロールが社会の動き方を牛耳っている気がしてしょうがないのです。


日本の男性の自殺率は女性の2倍に及びます。そして世界を見ても、同じ傾向が見られます。そして、社会に出ることに抵抗感を感じるいわゆる「引きこもり」の男女比も、男性が8割近く占めています。10年ほど前に「草食系男子」という言葉が流行り、恋愛を含む社会活動に受け身で向き合う男性が冷ややかな目で見られる日本では、男性のメンタルヘルスが蔑ろにされている気がします。


一方で、男性のメンタルヘルスについて社会の注目が集まると、女性のメンタルヘルスが二の次になってしまうのではないのかと危惧するところもあります。この記事を書こうと思い、女性の友達に相談した時、「男性が作った社会が彼らを苦しめているから、複雑に思う」と言われました。確かに、マッチョイズムを含むジェンダーロールは、男性中心の社会で作られています。最近一般的になってきた「バリキャリな女性」は、女性がキャリアを通して、ようやく男性中心の社会で認めてもらえることができる、という心理が裏にあるという学者もいます。


今回、メンズメンタルヘルスについて書こうと思ったのは、皆さんの意見を聞き、会話の場を設けたいと思ったからです。男性だけではなく、女性の方にもそしてどちらの枠組みにも当てはまらない、ジェンダーの枠組み自体を捨てた方にも、メンズメンタルヘルスに関わる実体験や感想を聞いてみたいです。この記事を機会に、皆様とメンズメンタルヘルスの実態についてより活発な会話をできたらいいな、と思っています。そして、我々 Blossom the Media がよりインクルーシブに、よりオールラウンドに「メンタルヘルス」について啓発活動をできるよう、ご協力願いたいです。



参考文献:




著者 Karin Shimoo

編集 Emiru Okada

グラフィック Maya Kubota

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