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  • Meg Hoffmann

これがBlossom


家の近くの道路の突き当たりに、一本の木がありました。灰色の古ぼけたアパートに囲まれたその木は、行き交う車や人々に注目されることなく、ひとりポツンと立っていました。私は7年間、毎日のように学校に行くために駅へと向かう途中でそれを通り過ぎ、ほとんど気に留めることはありませんでした。でも毎年、たった一週間の間だけ、その木は見張るほど美しい桜の木に生まれ変わりました。その鮮やかなピンクの花は陽の光に照らされ、喜びを放ち、まさしく新たな門出の象徴でした。


子供の頃、私は家から1時間半離れた学校に通っていました。7年間、家がまだ寝静まっている朝の5時半に起き、バタバタと準備を整え、6時までに家を出て電車に乗るのに苦労したのを覚えています。


通学で一番よく覚えていることは家から駅までの徒歩ルートです。私の出発する時間帯はまだ早朝でほとんど人もおらず、家の玄関から道へ出るときにいつも不安と孤独感を感じていました。凍てつく冬の日は特に最悪でした。家を出る時も真っ暗、帰る時も真っ暗でした。高校の頃、うつ病が最も酷かった時期は、暗くて冷たい冬がより一層孤独感を強めました。


でも、通学で一番好きだったことは、冷たい冬の朝夕が暖かな春に変わるのを見れたこと、そしてあの道の突き当たりの一本の木を見る楽しみだったかもしれません。


桜の木は3月の終わり頃から咲き始め、日本文化では常に新たな始まりの印とされてきました。暗くて陰鬱な朝には、桜の木が数ヶ月先に待ち受けている温もりと喜びを表すリマインダーでした。辛い時に私を奮い立たせ、長くてしんどい道のりの果てには必ずいいことが待っていると思い出させてくれました。


ブロッサムの名前の由来は、そこから来ています。


私たちが経験する苦労や直面する課題、全てが私たちを美しい人間に成長させてくれます。誰しもいかなる試練にも真摯に向き合い、それぞれ自分だけの素晴らしい作品に変える力を持っています。


ブロッサムは様々な思想やアート、文化、そしてムーブメントが一つになり咲き誇る場所です。


これがブロッサム。




翻訳 Yuko C. S.

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