• Miyabi

「頑張って」言わないで

閲覧注意: この記事は、自殺について書かれています。



「頑張って」


幼い頃、いやつい一年前までなんの気無しに受け取れていた言葉が、これ程まで自分を壊す言葉になるとは、その一年前の私は予想もしなかっただろう。


少し前の事だ。私は人間関係や、自分が自分自身に押し付けてしまう責任の重さ、そしてそれが複雑になればなるほど、比例するように悪くなるメンタルヘルスの重みを抱えきれなくなり、どうにかしようともがいていた。


私は一度に複数の事をやる事が苦手な不器用な人間にも関わらず、助けを求めるのが苦手だ。それもあり、自分を自分で苦しめてしまう。


そんな時、とある事を相談、いや愚痴っていた友達の1人に様々な会話の後、


「孤独かもしれないけれど、頑張ってみて欲しい」


と言われた。


初めに言っておこう。彼に全く悪気はなかった事を、私は存分に理解している。むしろ、私にアドバイスをくれようと、背中を押そうとして、良かれとして言った言葉であろう。

しかし、その言葉が崖っぷちギリギリで耐えていた私の心を突き落としたのは事実だ。その言葉を聞いた私は、何かがプツンと切れたように空っぽになってしまった。そして、「ああもういいや」と全てを諦めて、消える事を考えた。


「ずっとずっと頑張ってきて、それでも上手くいかなくて誰にも助けてって言えなかった。それでようやく誰かに話せたのに、これ以上何を頑張れっていうの?もう無理だ。」


彼の言葉がその時の私には、なぜか無責任に聞こえてしまい、「自分を理解してくれなかったんだ」という絶望感に近い失望が、ギリギリだった私の心を押したのだろう。


その後震えながら、呼吸が荒いまま別のメンターや親友に電話をかけ、彼女たちが出てくれた為何とか落ち着いた。

そして、「妹や母親、父親が違う国にいる中、今全てを諦める訳にはいかない」と喉が潰れる程泣きじゃくりながら、鏡の中の自分に言い聞かせた事も大きかった。

しかし、彼女達がもし電話に出ていなかったらと考えると、自分の事だが、今でも恐ろしいと思ってしまう。


誤解しないで欲しいのは、彼の所為のみで私がその様な状態になった訳ではない。色々積もりに積もった所に、彼の言葉が最後の一押しとなってしまった訳だ。


今でもこの一言が、これ程自分に影響を与えるとは思っていなく、今改めて振り返ってみるといやはや何であんなに、と思ってしまう。


それ以来、私は「頑張って」という言葉を口にしなくなった。

その代わりに


「もう十分頑張ってるよ。」

「無理しすぎないでね。」

「何かあったら言ってね、いつでも何かするから。」

「助けが必要な時は言って。貴方はあまり言わないけれど、抱え込みすぎないで。」


のような言葉を口にするようになった。

あの時の私がかけて欲しかった言葉、そしてあの後、親友達がかけてくれたこの言葉があるからこそ、今私はここにいると言っても過言ではない。


彼を悪者の様に書いてしまったが、今となっては彼に感謝していると言える。(ほんの数日前までは無理だったけど。) 何故なら、たった一言で人を何処まで突き落とせるか、身をもって経験させてくれたから。しかし、今でもその言葉を見たくなくて、彼とのトーク画面は開けていない。



だから、私は声を大にして言いたい。

人は言葉でも殺せるよ。

言葉は時には目に見えない刃となって、人を八つ裂きにしてしまうよ、と。

メンタルヘルスは大事だよ。

目に見えないからこそ、その傷は気付かれにくく治癒しにくい。だからこそ、フィジカルヘルスよりも注意深く見る必要があるんだよ、と。


私は周りに恵まれていた為、今も図々しく生きている。けれども、日本で自ら消えていく燈は後をたたない。その燈を守る風除けになりたい、と私は思う。


図々しくていい、迷惑かけたっていい。

貴方には価値がある。自分で分からないかもしれないが、それは私が保証する。 


今日も明日も明後日も、その燈を燃やし続けていこうよ。



編集 Emiru Okada

グラフィック  Ayumi White